「ほら、手」
差し出された手にはきっと深い意味なんてないはずだ。
頭ではわかっていても、この手に己の手を重ねることに躊躇してしまった。
「やっぱあんたは可愛くねえな」
物理的な重みを感じることのなかった彼の手はすっと元のジャケットのポケットへと戻ってしまう。
そこでようやく邪推などせず、おとなしく手を繋げば良かったという後悔と、可愛くないといういつもと変わらない評価を受けたことに対する安堵感がこみ上げてきた。
「某が可愛かったら気持ち悪いでございましょう?」
呆れたように言えば、そりゃそうだ、と軽く笑って返される。
(・・・そう思われるのなら、最初から手など差し伸べないで下され)
可愛らしく頬を染めてその手に触れるなど、己には到底できないのだから。
意識的に頬の筋肉を持ち上げて作った笑顔なんか、半歩先を歩く彼はきっと気づくことはないし気づかなくていいことだ。
(・・・可愛げなど某には要らぬ)
彼が己にそれを求めていないのなら、己がそれを持つ必要はない。
終了
幸ちゃんは自分を確り持ってそうに見えて、実は大切な人の求める自分になりたいっていう願望が強いと思う。
って意味のわかんないことを思い付いただけです。