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※元就さんは養護教諭です。時間軸は『願望 或いは』の前後あたり。
「伊達。そこはお主の席ではあらぬぞ」
今日も堂々と我の管理スペースへとサボりに来た奴に形式だけの注意を促す。
別に本心ではどうとも思ってはいない。サボって留年しようと何をしようとすべては自己責任だ。
「あんたこそ、そのやる気の無い注意は無えと思うぜ」
相変わらずの減らず口など相手にしてられない。無視して書類に向かえば、奴はベッドへと向けていた足を方向転換し、処置用の固いベッドに座った。
「・・・なあ、あんたはどう思う?」
何を指しているかはっきりしない問だが、何が言いたいのかは分かった。
こいつにしては随分弱気な発言だ。
「何のことか分らぬ」
「・・・分かってんだろ。吸血鬼になることだ」
こいつは先のトラブル―松永に狙われ、幸村に助けられた事件だ―で我が吸血鬼であることを知っている。・・・我がどうやってこのようになってしまったのかも。
「それを、我に聞いてどうするのだ?参考になどなりはせぬ」
「わかってっけどよ・・・いや、悪い。嫌なこと聞いたな」
くるりと椅子を回転させて奴の方を向く。
あの男と反対の目に眼帯をしたこの少年はどこか遠くを睨んでいた。
何を考えているのかなど聞かずとも分かる・・・分かってしまう。
こやつが真田を好いていることは一目瞭然だ。
だからこそ、あの時のように真田を危険に曝してまで自分が助けられることに嫌悪して吸血鬼になりたがっている。
・・・そのようなこと、真田が許すはずも無かろうに。
「このような体になどなるものでは無い」
そのように言えば、遠くから我に視線を定めて理解し難いといった目を向けてきた。
「あんたがそれを言うのか?」
「少なくても、我がこの体にならなければあやつは責任を感じて我の前を去ることは無かったであろう」
体を変えられ、目が覚めた時に見たあやつの苦心に満ちた顔。
罪滅ぼしとばかりに吸血鬼の説明や生き方を教えてくれた後、あれは我の前から姿を消したまま消息は掴めない。
「言いたくも無い事だが、吸血鬼としての己を嫌悪している奴が誰かを吸血鬼にしたとして・・・その事実に耐えられるとでも思っておるのか?」
真田もあの男に近い考えの持ち主だ。その事実を受け入れた上で一緒にいることがはたしてできようか。
「我やそなたが許したとしても望んだとしても、己で己のことが許せぬのなら相手が苦しむだけだ」
寧ろ、許したことで更に己を責めることになったのだ・・・あの男の場合は。
「だからってよ・・・今のままだってあいつは傷つきっぱなしじゃねえか」
「そなたが同じになったところで、その傷が癒せるとでも言うのか?」
熱く反論してきた目の前の眼帯に対しどこまでも冷たく答えてはいるが、本音の部分ではこやつの意見に縋りたかった。
己の意見を否定したい。
・・・あの男は傷ついていないと誰かに言ってもらいたい。
(・・・愚かな事だ、そのような夢物語など)
あの日を境に笑わなくなり、本当に向けて欲しかった感情よりも悔いる思いばかりを抱いていた、あの男の姿を見ているくせに。
「・・・本当に大事だと思うのなら、もう真田に関わらなければよい」
吸血鬼になど出会うものでは、まして惚れるものではない。
どう転がっても待ち受けているのは幸せだけではないのだから。
(とりあえず)終
また中途半端な部分を引き抜いてきました。
吸血鬼にされた元就さんと、吸血鬼になりたい伊達さん。
二人の立場って似てると思って、話しさせたくて実行したら思いのほか言うこと聞いてくれませんでした。
こんな風にぽろぽろ書いてますけど、結末とか全然想像つきません。てか、ありきたりなことしか考えられなくて、それじゃつまんねえよ。みたいな?