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とん、と軽やかに水たまりを飛び越えると同時に、ふわりと揺れる一房に束ねられた髪とスカートに目を奪われた。
きらきらと太陽の光を反射する水たまりよりもよっぽどまぶしく感じたその姿に、足を止めて魅入ってしまった。


「政宗殿?」

立ち止まった政宗を不審に思い振り向いた幸村は、きっと何気ない仕草の度に政宗を引きつけてしまっているなど考えもしないだろう。

「…何でもねえ」

幸村の真似をせず水たまりを迂回して彼女の横に並ぶ。
再び歩き出し、楽しそうに何かを話す彼女を観察する。
上から見下ろすことでよく分かる長い睫、動きの止まらない柔らかな唇、セーラー服の襟元からのぞく鎖骨。
どれもが政宗の劣情を誘ってやまなかった。
雨上がりの蒸し暑さのせいで流れるものとはまた違う汗が、政宗の喉元を流れる。
無性にわき上がったのは抱きしめたい、という衝動。
抱きしめて、その体中に唇を這わせて、汗の匂いが混じったどこか甘い体臭に溺れたい。

思い浮かべた欲望を実現するため、どうするかなんて決まっている。

「幸、今日は家に泊まってけ」

途端にあれほど動いていた口がぴたりと止まる。

「…………分かり申した」

暑さのせいじゃなく頬を染めた朱は極上の果実よりも魅力的だった。



もっと変態にしてあげたかったのに、ごめんね筆頭。
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